鼻炎や咽喉の症状に「翼口蓋神経節刺鍼」を応用して
耳鼻科領域の鍼を工夫しています
私の所属している日本病巣疾患研究会では、口、鼻、のど(咽頭)から始まる全身の病気「病巣疾患」を研究する団体です。研究会では、慢性上咽頭炎やいろいろな病巣疾患に効く上咽頭擦過(EAT、Bスポット治療)を推奨しています。
(※以下の図、文面は日本病巣疾患研究会より転記)
① 塩化亜鉛の組織収斂作用、抗炎症作用による上咽頭の炎症の鎮静化。
② 上咽頭に投射する迷走神経を刺激することによる自律神経系への作用と迷走神経・炎症反射を介した抗炎症作用。
③ 上咽頭擦過に伴う瀉血による上咽頭うっ血状態の改善を介した脳脊髄液・リンパ路・静脈循環の改善。
の3つの機序に大別される。咳、後鼻漏、頭痛、咽頭違和感、微熱などの改善は主に①と関連。自己免疫疾患の改善には①と②が関与する。また、自律神経障害などの機能性身体症候群の改善には②と③の機序が関与する。
ただ、「病巣疾患」に効果のある上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット治療)ですが、鍼灸師は法律の縛りがあり実施できません。
当院では自律神経症状でお悩みの方が多く来院されていますので、上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット治療)メカニズムにある迷走神経刺激作用を鍼灸の臨床で活かせれないか文献を探していると、北京同仁病院耳鼻科の李新吾主任教授が研究された翼口蓋神経節(よくこうがいしんけいせつ)刺激に関する論文に出会いました。
鍼を刺入する部位は、経絡胃経の下関穴付近から刺入、鼻の後ろの翼口蓋神経節に到達させる…とあります。
ツボ名は、教授の名前をとって「新吾穴」となっています。
私の臨床では、李新吾教授のように長い鍼ではなく、日本の鍼灸師が使用する一般的な長さと太さの鍼を使用しています。
たぶん、長さから考えると神経節までは到達していませんが、何かの作用があり鼻の症状に効くことがあります。
翼口蓋神経節には交感神経と副交感神経が含まれ、鼻腔内の血管、腺体の収縮拡張をコントロールしています。
鍼で刺激することによって、乱れた交感神経と副交感神経を調節することができ、バランスを保つことができると述べられています。
当院でも 最初は定期的に来院されている患者さんで鼻の症状にお悩みの方に実施したところ、手ごたえを感じています。
少し追試したいと思います。
ライフ治療院院長 予約制052-877-5791
国家資格保持者による、はり灸・マッサージ・整体をいたします。
【国家資格】
◎あん摩マッサージ指圧師
◎はり師
◎きゅう師
【認定】
鍼灸心理師 良導絡専門師