鍼灸が効くメカニズムは?
鍼灸はどうして効くのか?
鍼灸を受けると… 身体の変化は単純なものではなく、皮膚・筋肉や神経・脊髄や脳でそれぞれ違う作用が起こります。特定の神経やホルモンを抑制、促進したり複雑な作用を起こします。
研修会や学会で学んだことを参考にご説明します。
効果:① 血流の改善
血管が広がり、筋肉のコリが柔らかくなります
固くなった筋肉に鍼を刺す、お灸をすえることで、眼で見えないくらいの 小さな傷 をつけます。
すると傷を治すために、血管が広がり血行が良くなります。
下記の画像のような鍼灸により皮膚が赤く充血することを「フレアー現象」といいます。
鍼灸により血流が改善されることで、引きつった筋肉のコリ(筋肉が硬い➡収縮している)が柔らかくなります。
急性の痛みを感じさせる「発痛物質」を患部から減少させます
急性のぎっくり腰、寝違い、関節炎、捻挫、打撲などの 炎症性の痛みは、「発痛物質」が患部に停滞することが原因です。
痛みの発生源となる「発痛物質」は、傷の痛みや炎症に対して、より神経を敏感にさせ痛みを感じやすくさせます。
そこで、鍼灸治療により血管を広げ、血流を良くすることで患部に停滞している「発痛物質」を押し流し、痛みを軽減させます。
したがって、レントゲンやCT、MRIの画像により椎間板ヘルニア、関節の変形や関節間の狭窄と診断されても、炎症性の痛みの場合には直接関係ないものが多いと思います。
効果:②痛みの感受性を変える
効果:③自律神経の調節力を高める
【実験1】
目の瞳孔の直径を ①鍼を刺入する前、②刺激中、③後…と観察しました。
【実験】
人数:5名
刺激部位:上天柱(後頚部のツボ)画像の赤丸
方法:10秒雀啄(刺激) 瞳孔の直径をイリスコーダーにより測定しました。
【結果:データー】
◎刺鍼前(Before 60 sec) :瞳孔
◎刺鍼中 (Needling 10 sec) :刺鍼前よりも瞳孔直径は大きくなる → 交感神経興奮
◎刺鍼後 (After 60~180 sec):刺鍼前よりも瞳孔直径は小さくなる → 交感神経抑制
※下記の折れ線グラフを参照
【結果:データー】
【実験2】
当院では良導絡測定をPCにより解析して治療の参考にしています。
良導絡測定とはノイロメーターにより皮膚の電気抵抗を測定することで交感神経系の興奮と抑制状態が把握できます。
例)良導絡測定による治療前・直後データーの比較
① うつ病 向精神薬を服用中の測定データー
50代女性 / 抗うつ薬、安定剤、睡眠薬などを長年飲み続けている方の治療前・直後の測定結果です。
治療直後の測定データーの変化は少なく、薬により脳や自律神経の正常な反応性は抑えられていることが考えられます。
そのために、鍼灸治療も工夫が必要か、ある一定の期間の継続治療が必要になります。
このようなパターンの方には、身体と心、また、生活習慣等の指導も同時にいたします。
◎折れ線=青:治療前 赤=治療直後
② 肩こりの測定データー
30代女性 / 肩こりの患者さんの良導絡測定結果です。
デスクワークの疲れによる肩こりです。
適切な治療を施せば、下記画像のように 治療前・直後で変化のある測定データーになります。
これは、鍼灸の刺激により身体を治すスイッチがONになった状態です。
筋肉がゆるみ、血液循環が改善されることが予測されます。
◎折れ線=青:治療前 赤=治療直後
鍼をすると、交感神経の緊張も緩和して血液循環も改善されます。
このように鍼の刺激で交感神経をゆさぶります。その結果、刺激がきっかけとなり、治す力を高めます。
もう少し解りやすく説明すると、鍼灸の刺激が、自然治癒力のスイッチをONに切り替えます。